★このブログは、人事初心者が学んだことの整理や、
感じたことをまとめているだけなので、内容に多少誤りがある可能性もあります。
その点はご了承ください★
今回は、副業・兼業における「管理モデル」について書きたいと思います。
管理モデルとは、厚生労働省が策定した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」で
示されている、「 簡便な労働時間管理の方法」です。
・・・簡便な・・・?
そう、実は、原則の労働時間通算方法とは異なる、より簡便な管理方法です。
具体的な方法は、厚生労働省の資料「副業・兼業の促進に関するガイドラインわかりやすい解説」によると、以下のとおりです。
① 副業兼業の開始前に、
(A)時間的に先に労働契約を締結していた使用者Aにおける法定外労働時間
(B)時間的に後から労働契約を締結した使用者Bにおける労働時間(所定+所定外)
の合計時間数が、単月100時間未満、複数月平均80時間以内となる範囲内において、 A・Bにおける労働時間の上限をそれぞれ設定。② 副業兼業の開始後は、A・Bが①で設定した労働時間の上限の範囲内で労働させる。
③ Aは自らの事業場における、法定外労働時間の労働について、
Bは自らの事業場における、労働時間(所定+所定外)の労働について、
それぞれ割増賃金を支払う。
副業・兼業の促進に関するガイドラインわかりやすい解説
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/ap2024.pdf
これにより、副業兼業の開始後は、他社の実労働時間を把握しなくても、
労働基準法を遵守することが可能となる、とのこと。
・・・確かに、副業兼業先の労働時間を把握しなくていい、という点は、
実務的に簡便で楽だとは思います。
でもBの立場からすると、「所定労働時間」(副業兼業していなければ割増賃金不要)
に対しても割増賃金を支払うことになるので、
管理モデルの採用に、なかなか踏み切れないのではないか…とも思ったり。
厚生労働省の資料によると、
「 管理モデルは、A社(先契約)が管理モデルによることを求め、
労働者及び労働者を通じてB社(後契約)が応じることによって導入される。」
とありますが、Bが「割増賃金を余計に払いたくない」と言って
応じない場合もありそうな気がします・・・
そもそも、原則とは違う簡便なモデルを厚生労働省自ら発表しているという事は、
厚生労働省自身も「原則の通算方法は実務上困難」と思っているという事でしょうか。
原則の方法を活用しやすくするための改善についても考えてほしいな・・・
と思ったりもします…
ただ、今後、通算管理の見直しの動きもありそうです!
令和6年6月21日に出された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024年改訂版 」において、次のように書かれています。
副業・兼業における割増賃金の支払に係る労働時間の通算管理の見直し
労働者が副業・兼業を行う場合には、複数の事業場の労働時間を通算して管理する必要があり、割増賃金の支払に係る労働時間の通算管理について、
制度が複雑で企業側にとって重い負担となっているために、副業・兼業の許可が
難しいとの指摘がある。
副業・兼業における割増賃金の支払に係る労働時間の通算管理の在り方について、
労働基準法等の関係法令における解釈の変更も含めて検討し、結論を得る。
新しい資本主義の グランドデザイン及び実行計画 2024年改訂版
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/ap2024.pdf
今後、通算管理が少しでもやりやすくなっていけばよいなと思います。